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経営者・社長が孤独を感じない経営のすすめ|税理士法人碧の空(静岡市)

目次

無性に寂しくなる、「独りだな」と感じる、不安で泣きたくなる、経営者は誰でもそんな気分になったことがあるのではないでしょうか。

 

近年の経営手法については、ボトムアップ型やチーム分業型などが増えてきて、トップダウンのみで行う強いカリスマ経営者は少なくなってきたように感じます。

 

この記事では、凡庸な中小企業経営者である税理士がたどり着いた、長く長く寂しいトンネルを脱出する方法を、筆者の経験や、顧問先の社長に聞いた貴重なお話などを織り交ぜて解説します。

 

途中、具体的過ぎるエピソードが出てくることがありますが、どの出来事も今となっては「感謝」しかない貴重な経験でしたので、前向きにとらえて読んでくださると幸いです。

 

1.経営者・社長が孤独を感じるとき

このタイトルの記事を読んでいる経営者の方は、以下の様な時に特に孤独を感じたりしませんか。

 

1-1.資金繰りを考えるとき

信頼できる経理スタッフから、「今月厳しいです」と言われたとき、背中がゾクッとします。

次の給与が払えなかったら・・・とスタッフの顔が思い浮かんだり、今月末の仕入代金が払えなかったらどうしよう・・・と取引先の社長の顔が浮かんだり。スタッフや取引先の信頼を裏切ることになると思うと眠れなくなります。

 

資金繰りが厳しいという話題は、スタッフを不安にさせるだろうから、社内では口にできないですし、経理スタッフにも、「大丈夫、なんとかなるよ」と虚勢を張ったりしてしまうこともあるかもしれません。

 

人知れず個人の資金を入れて、何事もなかったかのように振る舞い、ピンチを切り抜けた経験は皆さんお持ちかと思いますが、一度そのようなことがあると、自分のお金はいざというときのためにプールしておく癖がつき、手にした役員報酬も怖くて自由に使えなくなったりします。

 

スタッフが離れて売上が確保できなくなって、お金が回らなくなったら、事業は損益上黒字でも倒産します。個人保証を付けて借入をしている場合は、家族にも迷惑をかけることになるかもしれないので、考えようとしなくても常にどこか緊張感をもっているのではないでしょうか。

 

 

1-2.売上が足りないことを税理士等に指摘されたとき

売上を上げるという仕事は、中小企業の場合、大抵社長の仕事です。月次の試算表を見て、「売上が足りないですね」と、事情を知らない銀行担当者や顧問税理士などから言われたら、自分の働きが悪いといわれているように感じてしまいます。

 

銀行担当者も顧問税理士も分析や事実を伝えているだけなので、そんな意図はないし、被害妄想だとわかりつつ、自分が一番分かっていることを言われるのは辛いですよね。

 

私の場合は、スタッフから言われたので、かなりショックを受けました。

 

責められているように聞こえたし、人ごとのように突き放された感じがしました。そのスタッフにそれほどの意図はないことも頭ではわかりつつ、思わずそのスタッフには「どうしたらいいかな」と聞いてしまいました。

 

経営者だからって天才でもヒーローでもなんでもない「ただの人」ですが、「頼りになる上司」の役をやっていると、「上司に聞けば解決する、全部教えてくれたとおりにやればいい」、というスタンスをとるスタッフは多いです。

 

それは従順で普通なのですが、そんな態度を取られ続けていると、弱みを見せるような発言は、プライドが邪魔をしたり、スタッフの期待を裏切るような気がして、なかなかできないです。でも、一緒に考えてほしいという気持ちで尋ねると、案外真剣に自分事として考えてくれるものです。

 

1-3.給与について社員から不満を言われたとき

これが一番応えませんか?あれこれ考えてやりくりしているけれど、そんなことは知ってか知らずか「こんなに少ない昇給って、あり得ないです」と言われて落ち込む・・・そんな経験はないでしょうか。

 

仲間だと思っている人が「立場の違い発言」でみるみるうちに超遠く感じる・・・孤独感Maxです。

 

経営者が孤独を感じるとき

 

1-4.社員が退職を申し出てきたとき

創業当時から一緒にやってきた重要なスタッフから、「社長のやり方にはついていけない、精神的に傷ついて会社に行けない、話せば話すほどプレッシャーを感じるのでもう会いたくない」、そう言われて辛い思いをしていた社長がいました。

 

その社長は普段は強くて社交的で、営業が得意。自信に満ちあふれていてスタッフたちも従順に従っていました。実力はもちろん、時間的にも体力的にも100%で仕事をすることができる社長は、スタッフも自分と同じように100%の時間と体力で働いてほしいと思っていたので、普通の人はその期待に応えることができず、だんだん辛くなっていきました。

 

スタッフを傷つけるつもりも追い込むつもりもなかったし、むしろスタッフの将来を彼なりに考えて愛を持って育ててきたのだと思います。どこでどんな言葉が足りなかったのかと、振り返っていたかもしれません。

 

社長はおそらくそのとき、言いようのない孤独を感じていたと思いますが、そんな弱いところを私に見せることもなく、辞めたことを後悔させるくらい、いい会社にするしかない、と奮起する原動力にしているようでした。

 

1-5.仕事の悩みに共感してくれる人がいないとき

友達、家族など周りにサラリーマンが多いと、立場が従業員側の人ばかりなので、経営者の愚痴は、共感してくれる人が限られるということをよく聞きます。

 

確かに、おそるおそる話すと、「経営者はそういう気持ちなのね」と珍しいものを見る感じで興味を抱いてくれる人はいます。でも、もし雇用される側の意見で反論されたら、歩み寄りは難しく、ストレス発散どころか、プライベートでもストレスを重ねることになります。そんなリスクを冒してまで周りに話すことは躊躇するようになります。

 

仕事上付合いのある経営者と話すと、同じ様な立場なので、わかってくれる確率は上がりますが、やはり仕事上接点が多くある人にネガティブな情報を漏らすのは、なにかとリスクが高いです。

 

結果、誰にも話せなくて孤独・・・となります。

 

2.経営者と社員の価値観のちがい

経営者側の気持ちを書いてきましたが、経営者と社員は立場が違うというだけなので、どちらが上でも下でもありませんし、特に悪い人もいません。

 

一般的な価値観の違いをまとめると以下のとおりです。(記事のここだけ、チャットGPTにまとめてもらいました。)お互いに相手の立場をしっかり理解しておくことは重要です。

 

2-1.経営者の価値観・視点

  長期の視点 :会社の存続や成長、投資回収を見据えている。

  リスクの許容度 :事業拡大や新規投資などの変革に踏み込む必要があると考えている。

  成果の責任 :最終的な利益や資金繰りを自分が背負っている。

  全体最適 :組織全体のバランスを優先している。個別の希望も叶えたいが、「会社全体のため」を重視せざるをえない。

  自由と孤独 :意思決定の自由度は高くやりがいがあるが、その分責任も集中しているためプレッシャーがある。

 

2-2.社員の価値観・視点

  短期・中期の視点 :給与・働きやすさ・キャリア成長など、日常や近未来に直結する要素が大きい。

  リスクの回避 :雇用安定や生活基盤を優先。会社の「攻めの投資」より「守り」を求めやすい。

  役割と責任 :自分の担当領域の成果を果たすことが中心。

  部分最適 :自分や所属部署の利益や効率を重視しがち。

  安心と依存 :経営判断は経営者に委ねる一方で、その影響を強く受ける立場。

 

3.経営者の生き方

経営者として孤独が深くなると、果たして自分は経営者に向いているのだろうか、カリスマ的なものがないから、スタッフが不安になっているのではないか、などいろいろ考えを巡らせてしまいます。

 

3-1.悩みに悩み、自分だけではないことに気づく 

サラリーマンから独立して経営者になった人は、スタッフがいなければ資金繰りと、商品づくりと、売上獲得に主に悩むことになります。

 

先代から事業を承継した経営者は、すでにスタッフがいる場合が多いので、彼らにとって良い経営者とは?そもそもよい経営者になる必要があるのか?など、漠然と考え始めることになります。

 

目の前にある日々のひとつひとつの選択や決定をこなしながら、いくつもの壁にぶち当たり、モヤモヤすることが増えていきます。自分で選んだ道なのに、「何で自分だけが・・」、と気持ちが続かなくなってくることもあります。

 

経営者は、「儲かる仕組み」を考えて、「資金を確保」して、さらに立場の違う人に関わって、その中で「自分の生き方を決める」、そんな、とてつもなく難しいミッションに挑んでいるということに気がつき、そして、挑んでいるのは自分だけではない、ということにも気がつくと、周りのポジティブな経営者に関心が出てきます。

 

3-2.本を読む、名言を知る、自分に当てはめる、の繰り返し

私が毎日悩みに悩んでぐるぐるしてしまったときに取った行動は、とにかく本を読みあさる、セミナーを受けまくる、身近な経営者(顧問先)の話を聞く、でした。

 

世界にはたくさんの経営者がいて、それぞれの経営理論があって、新しいものも古いものも、共感できるものも出来ないものも、今の時代では幸いなことに、先人が書いてくれた知恵を簡単に探して読むことができます。

 

またコロナ禍以降、無料・有料のWebセミナーも会社や自宅にいながらたくさん受けられるようになりました。ありがたいことに、講師のみなさんは親切に惜しみなく自分が体験したことをもとに、経営やマーケティングのエッセンスを教えてくださいます。

 

学生時代の勉強とは異なり、今日から役立つ考え方や改善ヒントが得られるので、読書も動画もセミナーも苦ではなく、「ありがたい」の一言です。

 

少々ひねくれていたサラリーマン時代の私が聞いたら、「きれいごとじゃん」と恥ずかしくなっていた名言が、一旦経営者の苦悩を体験・実感してから聞くと、どの言葉も素直に心に染み渡っていきます。人ってこんなに変われるのですね・・・。

 

作業を繰り返すと、達観した考え方に近づく

 

3-3.自分は何のために生まれてきたのか 達観した考え方に近づく 

経営者が書いた本は、単なるテクニックや経営理論だけではなく、生き方について書かれたものが多いです。

 

私は経営者になって、人生についても独りで悩んでしまったので、本のジャンルもどんどん広げて、仏教の本を読んだり、座禅に興味を持ったり、ヨガの瞑想にトライしたりと、仕事以外の時間はずっと、少しでも興味を持った新しい分野の情報をむさぼっていました。

 

そんな状態で気がついたのは、美術館に行ったり、クラシックを聞いたりすると、今まで感じなかった言葉にできない感情がどんどんあふれてきて、すぐに号泣するようになったのです。芸術は芸術家自身の孤独や苦悩の中から生まれた作品が多いので、受け取る方に孤独感や悩みのない時にはそこまで感じなかったものが、浸みるように感じられるようになるのだな、と自分自身の身体で実感し、何となく人間として一歩前進した気分になりました。

 

そうして、情報を詰め込んで、咀嚼して、吐き出して、と何周かしたところで、自分はどう生きたいか、周りから何を求められているか、自分に何ができるか、を考えるようになりました。(どうやって咀嚼して吐き出したかは別の機会にお話します。)

 

3-4.社会に必要とされている事業にしたいと考える

事業の目的は、自分や家族が食べていくため、社員の生活を守るため、社会に貢献するため、と様々ですが、社会に必要とされない事業は徐々になくなっていきます。そのサービスや商品を買う人も、それを売りたいと思う人もいなくなるからです。

 

一方、社会にどんなに必要でもボランティアでは活動が続きませんので、事業継続のためにどこかで収益を上げて資金や労働力を調達することはとても重要です。

 

自分がやりたいことが、同時に社会に役立って、さらに儲けを生み出す、そんな事業を考える必要があります。これを突き詰めていくと、組織の経営理念になっていきます。

 

4.経営者の孤独感を軽減する10の方法

経営者は、以上のように悩みに悩んでやっとたどり着いた「信念」に基づいて会社の仕組みを考えることになるのですが、孤独感を感じてここまでこの記事を読んできてくださった方は、そんなの難しすぎるよ、とちょっと気弱になっていらっしゃるのではないですか?

 

そんな方におすすめするのは、「独りでは途中でくじけてしまいそうなので、何事も独りではやらないプラン」です。私が読みあさった先人の教えから編み出した、碧の空流の孤独感脱出方法です。

 

4-1.社員をできるだけ経営に巻き込む

経営の舵取りは自分一人で背負いすぎているとつぶれてしまいます。

この際、会社の強みも弱みも社員にさらけ出して、情報をオープンにしてしまいましょう。

 

まずは、社員全員または、主要メンバーで、現在の会社が所属する業界の情勢と今後の見通し、会社の現在の立ち位置、他社の成功事例、他社の失敗事例など、情報を共有する会議を開きます。

ここまでの情報なら、会社固有のデータはあまり含まれていないので、容易に決断できると思います。

 

この会議では、できるだけ多くの意見を引き出すために付箋やホワイトボードなどのアイテムを利用します。

 

ここぞとばかりに体制を批判する人もいるかもしれませんし、社長がいる状況で意見を出しにくい人もいるかもしれません。会議の進行に不安がある場合は、社長は同席せず、コンサルタント(MAS担当者 後述します)等に司会をお願いしても大丈夫です。

 

成功のコツは、安心安全な雰囲気作りにありますので、どんな意見も否定しない、というルールを掲げて始めます。

 

次に、今書き出してもらった現在の状況を踏まえて、自社の強みと弱みをやはり全員で書き出していきます。意外と社長の気がついていない強みを発言する人がいたりして、聞いていると誇らしく思う瞬間もあります。(同席しなかった社長はあとから付箋を見せてもらいましょう。みんなの意見が自信になるし、ネガティブな意見も比較的冷静に読むことができます。)

 

次に、売りたい商品・サービスについて書いてもらったり、書き出してもらった強みについて、伸ばしていく方法を書いてもらったり、テーマを決めて話し合います。どんなに小さなアイデアでもよいので付箋に書いてもらいます。

 

その過程で、課題が発見されたり、それを解決するアイデアも出てくるかもしれません。

もし生産的な意見が出てこなかったとしても、聞かれることに慣れていなくて意見が少なかったとしても、社員達が自分の勤める会社の経営について考える時間が持てた、ということで、「巻き込みができた」と考えるようにします。

 

社員の意見をたくさん収集できたところで、社長はあらためて方向と行き先を考えます。みんなで進む道と、たどり着いたところの景色(ビジョン)を、ある程度具体化していきます。

 

社員の多くが、社長の行きたい方向と違う方向に進みたい、と思っていることがわかったのであれば、社員を1人ずつ納得するよう話をするのか、社長と志を同じくする新たな社員を入れて新たな事業部を立ち上げるのか、それとも経営者が自分の進む方向を変えるのか、など、何かしらの決断をしなくてはなりません。

 

もし社長が思う方向に近い意見を持つ人がいることが分かったのであれば、大変心強く感じるはずです。どちらにしても、社員が会社の経営について真剣に考えてくれた事実をかみしめることができたら、この時点で少々孤独が去っているかもしれません。

 

4-2.エンパワーメント理論の導入

トップダウンで何でも決めるのではなく、スタッフがそれぞれ権限を持って自ら決めたり成長したりできる組織を目指すとしたら、楽しそうではないですか?

 

これだけ聞くと危険な話と思うかもしれません。権限をもたせたらスタッフが暴走しそう。自分の指示なしで決定するなんて無理なのでは・・・。

そんな人にお勧めしたい本は、ダン・S・ケネディの「世界一シビアな「社長力」養成講座」です。

 

「社員は泥棒と思え」「社員を家族扱いするのは愚の骨頂」、というようなショッキングなことが書かれていて、読むと「稼ぐ経営者」側への振り幅がMAXのところまでいけるので、自分の理想の方針を考えるのに役に立ちます。

 

次に、ケン・ブランチャードの「社員の力で最高のチームをつくる1分間エンパワーメント」 という本を手に取ってみてください。

星野リゾートの星野社長がまえがきとあとがきを書いていらっしゃるのも興味深く、「夢のような話だけれど、信じてみてもよいかも」、と思わせる内容になっています。(どちらの本も当時、事務所の営業コンサルタントとしてお世話になった方に教えてもらいました。感謝です。)

 

そして、もし「エンパワーメント」ってなんだろう、または、「エンパワーメントこそもしかしたら自分の目指す理想の考え方かもしれない」、と思ったら、とりあえずここから下も読んでみてください。孤独とはほど遠い世界を手に入れることができるかもしれません。

なお、エンパワーメントを取り入れること自体は、強いトップダウンの取り組みにする必要がありますので、何度も本を繰り返し読み、強く決意をします。

 

エンパワーメントとは

 

エンパワーメント3つの鍵

 

4-3.体質改善には長期間かかることを覚悟する

実は、スタッフの意識や考え方に変化が見られるようになるのは数年先です。そうなることを信じて、エンパワーメントの教科書どおり、体質改善の取り組みを開始します。

 

まずは、スタッフが自ら判断して動くために必要な「情報開示の仕組みづくり」をします。何をどう見せるか、必要な情報は何か、などを考えて、コツコツと種をまいていきます。この作業を私は1人ではじめました。誰かを巻き込むにしても、やりたいことがイメージ出来る所まで自分でやらないと、巻き込んだ人が混乱してしまうだろうと思いました。このときにコーチ(MAS担当者)がいてくれたらどんなに心強かったかと思います。

 

所内のデータ作りに割く時間があったら、直接的な顧客へのサービス時間や営業活動の時間に充てるべき、といった意見も出てくると思います。(実際、間接時間が多くかかるので、作業を依頼された人は、「この忙しいのに自分は何をやっているのだろう」とイライラする人も出てきます)

 

ですので、経営者が率先してデータ作りの素地をつくらなければ、思った通りのデータは入手できないかもしれません。自分のその時間を作るために、経営者は現場の仕事をスタッフに委ねたり、さらにそのためにマニュアルを作ったりするところからはじめることになるかもしれません。

 

「継続的に」「できるだけリアルタイムで」「ワンタッチに」提供できるデータの仕組みづくりに没頭するのですが、道のりが地道すぎて、何の為にやっているのか、目的を見失いそうになりますので、最初は8割くらいの正確さを目標とする、でもよいかもしれません。

 

次に、各人に権限を持たせるために、「境界線」を明確にする作業は、もっと難しいです。スタッフは、自分の作業範囲が広がる、やったことのない作業が自分の仕事になる、という不安な気持ちになるうえ、何となく権限と責任が今よりも付与されるだろうプレッシャーから、経営者を信じていいのかという雰囲気が漂います。

 

それを先回りし、ピラミッド型の組織図をひっくり返して、できるだけフラットなものにします。部や課という枠組みではなく、各プロジェクトチームのメンバーと責任者をはっきりさせて機動力のある組織図にします。

 

現場の担当者を主役に、マネージャーを主役からサポーター役へ役割をガラッと変えていきます。担当者がやるべき仕事を明確化して、その範囲での権限と責任をもたせる、という構想をもとに、具体的にどうするかをスタッフと一緒に考え始めるのですが、漠然と変化をいやがるスタッフの顔を目の当たりにすると、経営者の自信が揺らぎます。

 

こんな産みの苦しみの時間を、何度も信念に立ち戻り、耐えたり工夫したり少し戻ったりしながら進んで行くのはやはり1人では難しいです。

 

この過程で、社内の共感してくれそうな人に構想を話して味方になってもらい、孤独から脱して少しずつ仲間を作って広げていくのをおすすめします。

 

それでも、経営者と雇用者の立場の違いから、心が折れそうになる事件が起きたり、目の前の業務に追われたりで、重要だけど急ではないこの「体質改善業務」はまったく進まない状態になってしまうときがあります。その時は、後述のMAS担当者をうまく利用してみるのが近道となります。

 

1人だと挫折することも、社外に伴走してくれる人がいれば、強い気持ちに何度も戻れるのでは、と考えます。私は社内ではありましたがMAS担当者に助けられて、スタッフを沢山巻き込むことに少しずつ成功し、あきらめずに数ある行動計画や施策を順番に数年かけて、事務所全体で今まで実行して来ることができました。

 

長い道のりがあることと、上記の様なことがあるかも、という想定をしながら取り組むと、道中に起きるできごとも、きっと有意義に感じるのではと思います。

 

4-4.得意なことを引き出す 認めて伸ばす 評価をする 承認欲求を満たす

スタッフの業務に境界線とその中での権限を与え、そのチームでの経営者になってもらうことになるので、スタッフの配置や教育方針を決めることは、最初は最も重要な業務になります。

 

ただでさえ改革中は不安なのに、不得意なことを強要されたら多くのスタッフは辞めたくなります。そこで、「失敗=間違い・悪いこと」というイメージから、「学ぶチャンス」と捉える癖をつけることで、安全安心な職場を作っていきます。

 

どうしても人と関わらないといけない作業ですが、人が好きな人には、むしろこの道のりはちょっと楽しいです。スタッフ一人一人をちゃんと見て、どんなことにやり甲斐を感じるだろうか、何を伸ばしていったら楽しいと思うだろうか、本人と丁寧に会話をしていきます。

 

碧の空では、先程考えた各職務の業務範囲をチャレンジシートという複数のカテゴリ毎のシートに書き出して、自分はどの分野で活躍したいか考えてもらい、そのシートの中の次のレベルを目指すことをイメージできるようにして、それぞれの得意分野を伸ばしていく活動をしています。

 

具体的な業務を書き出すことで、各スタッフはゲーム攻略のように進むことができ、自身のレベルアップが見えるようになり、自己評価も評価者の採点もしやすくするようにしました。各レベルは各種手当を付ける際のルールにも取り入れました。

 

マネージャーやチームリーダーは、スタッフ自身が決めた目標をサポートする側に回り、個別ミーティングで悩みを聞き、ときにはスタッフが働きやすいように、各所への調整や助言をしてバックアップしていきます。この個別ミーティングでコーチングスキルが発揮できるようになると理想だな、と考えています。

 

4-5.状況対応型リーダーシップスタイルの社内共有

エンパワーメントをすすめていくと、必ず課題となるのがオンボーディング(新入社員を軌道に乗せること)から一人前になるまでのカリキュラムや指導方針になると思います。スタッフ教育は一人のエキスパートが全て行うのでは限界があります。スタッフそれぞれがそれぞれのポジションで、同僚や新人を、同じリーダーシップスタイルの方針で会社にあった人を育てていく必要があります。

 

たとえば、経営者が、トップダウン型の管理の厳しめな指示型指導者のスタイルをとると、スタッフは指示を待つようになるし、部下への態度もそれを真似するようになります。一方で、もし入ったばかりの新人に「自分で考えて動くように」と指導したら、おそらくその新人は何をしたらよいかわからず悩み、オンボーディングできないかもしれません。

 

ではどうしたらよいのか。リーダーシップのスタイル、それはどれか一つを選ぶ必要はありません。

 

参考にしたのは、(ケン・ブランチャード他「1分間リーダーシップ」より)の方法です。

 

リーダーが取るべき態度や指導方法は一つではなく、状況に応じて、相手に応じて、その都度、最適なものに変えていくべき、という理論です。視覚的にも理解しやすいリーダーシップスタイルの図が入っていますので、後輩の教え方に悩むスタッフ達にも、その時その時で自分と相手のポジションがわかりやすいです。

 

どういう上司でありたいか、を考えてきたリーダー経験者には目からうろこが落ちる、納得しやすい理論ではないかと思います。このリーダーシップスタイルを取り入れてから碧の空では退職者がなくなりました。

 

『最高のリーダーの仕事が終わったとき、部下達は言う、「自分たちの力でやり遂げた!」と』 

本の中に掲げられていましたが、老子の言葉「功成事遂,百姓皆謂我自然。」から引用されているのだそうです。先人の教えとわかると、信頼感が増しますね。

 

状況対応型リーダーシップスタイル

 

4-6.社員の孤独を自分事に考える

『だれもがハイパフォーマーになる潜在力をもっている。人によってほんの少し誘導が必要というだけである。』 部下を肯定的に見るとこのような考え方になります。

 

『部下が実力をフルに発揮できるよう助けよう。部下が正しいやり方をしているところを見つけよう』

 

これは「1分間称賛」という行為だそうです。間違っている時だけ声をかけるのではなく、正しいときにもすぐに具体的にどこがよかったかを称賛することで、自分の行動が正しかったことが分かります。さらに、自信を持つことができるだけではなく、誠意をもって見守ってくれていたことがわかって、マネージャーへの信頼感がうまれる、とあります。

 

その結果、『自分自身に満足している人は 満足できる結果を生み出す』となっていくのですね。(「新1分間マネージャー」ケン・ブランチャードなど より抜粋)

 

社員は立場が違うだけなので、経営者とは違う孤独を感じていることがあります。それは、家庭のことかもしれませんし、プロジェクトの重圧かもしれません。経営に巻き込んでいるからには、仲間の孤独は放っておかず、相談出来る雰囲気づくりと、でてきた課題を解決するためのしくみづくりを全力で行うことが、ピラミッドをひっくり返した場合の経営者やマネージャーの仕事と言えると考えます。

 

4-7.経営計画と達成管理の手法を取り入れる

ここまで、小手先の孤独回避ではない、壮大な方法を書いてきてしまいましたが、経営者の作りたい会社イメージのヒントになりましたでしょうか。

 

経営者のやりたいことがスタッフ達に少しでも共有できたな、という雰囲気が社内でやっと少し見えてきたところで、「真の経営計画」なるものを作成します。

 

これは、たとえば銀行に融資を申し込むために、予測の数字を羅列したもののことではありません。5年後、10年後に会社やスタッフがどうなっていたいかを、熱のこもった言葉と具体的な数字イメージと、時には絵や図などを使って表したビジョンのことです。

 

このイメージがある会社とない会社では、5年後の到達点は実際に大きく違ってきます。全員の向かっている方向が揃っていれば、大海原を最速で漕いでいかれますが、向かっている方向が特にない場合は、全員で海を漂っているだけになり、社長の胸の内だけに行き先がある場合は、おそらくゆっくりとしたスピードになるのではないかと思います。

 

ロケット理論と達成スピード

 

さらに、経営計画をたてるときは、会社の経営理念に沿って考えるもの。経営計画も経営理念も、同じ舟に乗っているスタッフたちにとっては、考え方や行動のよりどころとなる重要なものです。

 

碧の空では「ポラリスデー(旧将軍の日)」というイベントを開催しています。参加した経営者の方と「その会社の5年後の姿」を1日かけてじっくり考えるイベントです。

 

ポラリスデーの前日までに、経営者と弊社のMAS担当者が事前準備のための打合せを行い、シミュレーションデータの準備をします。

 

当日は朝から司会の進行に従って、社長自身が経営計画作成システムにて作業を行い、経営理念を完成させます。昼食をMAS担当者と一緒にとり、午後は5年後までの損益とキャッシュフローを何度もシミュレーションします。

 

できた数値計画の遂行に必要な、「行動の計画」を合わせて作成し、時間いっぱいまで使って、理想の計画をたてることができたら、夕方1冊の本にしてお渡しします。一日中MAS担当者がマンツーマンで横についてサポートしますので、安心して参加出来ます。

 

4-8.計画や業績を社員に公開する

作成した5年計画は、胸に秘めず、ぜひ社員に公開しましょう。損益の公開について抵抗がある場合は、経営理念と、5年後のビジョンの共有だけでも構いません。経営者の中でキャッシュフローが回る計画となっていれば、自信を持って発表出来るのではないでしょうか。

 

すでに社内に改革マインドがすすんでいる状態であれば、社員のみなさんに待ちわびた計画として受け入れられるかもしれません。

 

そこで、この計画は経営者1人では成し得ないこと、みんなの力が必要なこと、それぞれが経営者マインドをもって取り組んでほしいことを伝えます。

 

このとき、「その計画を実行すると、社員にとってどんないいことがあるのか」が見える必要があります。経営者の独りよがりの計画では共感は得られにくいです。「事業が継続出来る」「社会に貢献できてやり甲斐が持てる」「給与や賞与が○%アップできる」といった内容が話せると発表しやすいので、経営計画を立てる段階で想像しておくとスムーズです。

 

5年計画はその後、直近の1年間の計画、今年度の1ヵ月ごとの計画と、どんどん細かくしていき、実際の月次決算による業績や実際の行動と比較して、行動できているか、成果はでているか、計画変更は必要でないか、など達成状況を管理していかれるようになります。

 

碧の空の社内では、会計事務所特有ではありますが、職種的にスタッフ全員が、財務諸表を見ることができるプロフェッショナルなので、数字を見せても誤解されるリスクが少ないだろうと思い、計画も、その後の計画と実績の比較も、決算の着地予想から会計帳簿にいたるまで、全てをオープンにすることにしました。

 

何度も言いますが、道のりは長いですので、そんなにすぐに全公開はできません。5年の経営計画書も毎年あらためて作成しても構いません。何事も毎年少しずつバージョンアップしていくことをイメージしていってもらえればと思います。

 

4-9.独りでやらない くじけそうになったらコーチと話す

スタッフがいない法人や個人事業であれば、経営者が独りで何度も経営計画書を読み返して行動にうつすことになります。もし私だったら、自分の中にしかない決意は、日々の業務や忙しさに紛れて、いつの間にかあいまいになって風化していくのを想像します。

 

1人ならば、それも自分の人生なので、周囲からみれば全く問題ないのでしょうが、自分の中の自信も満足度も充実感も下がってしまうかもしれません。

 

一方、スタッフを抱える経営者は、彼らを幸せにしなければいけない責任を常に感じているのではないでしょうか。そのプレッシャーから、時には周りの人に当たってしまったり、自暴自棄な発言をしたりしてしまうかもしれません。家族にも社員にも本音を言うことができない経営者は、エンパワーメントに取り組んでも、道中はやっぱり孤独だと思います。

 

でも、どちらの方も諦めないでください。経営者の志を共有してくれて、ときには励まして、ときには認めてくれて、一緒に伴走してくれるコーチがいれば、自分の現在の位置の確認や、これからやるべきことを、自分の中で考えが整理でき、冷静にモチベーションを維持することができます。

 

4-10.時代は追い風と考える

人手不足や少子高齢化という状況から、何人も人を雇うことはできない時代です。今いるスタッフの個々の力をいかにフルに発揮してもらうか、その力をいかに集団の力にとりこむことができるか、という時代になってきていると感じます。

 

スタッフひとり一人の得意分野を伸ばすことはもちろんなのですが、自身が病を抱えていたり、家族の介護の事情を抱えていたり、夫の転勤、子育て、副業など、それぞれの働きやすさを考えなければ、人を活かせない時代になってきています。

 

協調、共存、協働、ダイバーシティへの対応など、経営者1人では考えつかないアイデアを、希望する当事者やその仲間であるスタッフ達は、どんどん課題をみつけて、対策を考えて乗り越えていく力をもっています。

 

個の力を最大限に発揮できる組織は、なんといっても強いし楽しい。

 

ひとり一人が大切にされていることを実感できると、なんて幸せな時代に居合わせているのだろうと感じます。この時代や環境はぜひポジティブに捉えてみてください。

 

5.コーチはどうやって見つければよい?

孤独感を軽減するのに取り入れたい方法はみつかりましたでしょうか?

 

もしコーチが欲しいと思った方、くじけそうになったときに話すコーチはどうやったら見つかるでしょうか。

 

一つ目は、ネットでコーチングをしてくれるプロコーチを探す方法があります。

 

コーチングとは、コーチングを受ける人の特有の感情や思考のはたらきを行動の力に変えることで、目標達成や自己実現を促すコミュニケーション技術と言われています。

ティーチングと違って、答えを教えてもらうことはできず、受ける人が「自ら答えを作り出す」ことを目的としています。うまが合って話しやすく、信頼できると思う人が見つかるとよいです。

 

私は以前、コーチ養成講座を受けたのですが、その時の講師の先生とのセッションを何度か体験して、「なるほどこの感情やこの考え方は新発見だな」と自分の中で頭と感情が整理されていくのを感じました。

 

コーチは決してこれをやりなさいとは言いません。自分で何をするか決めて、自分で決めたゴールに向かって「やる」と宣言するだけです。悩みは自分が動くと、形を変えていきます。いいプロコーチに出会えることは人生の大きな財産になるのではないでしょうか。

 

セッションは、1時間くらいの時間で、コーチと2人だけの面談をイメージしてください。コーチは「今日は何を話しますか?」とセッションの最初に聞いてくるので、自分で解決したいテーマを事前に考えておく必要があります。

 

自分で話したいことを伝えて、コーチの問いかけに順に応えていくことで、自分がどう考えていたのか、何故そう思っていたのか、他の視点からみるとそんなこともあるんだな、など、どんどん自分の頭の中の整理が出来ていきます。

 

セッション終了までに、自分で「何をするか」決めることができるので、それを続けるとどんどん望む方向に進んで行くことができます。

 

コーチと約束したことができていないと、自分の怠け度が明るみに出るので、恥ずかしいし、期待を裏切ることになるので頑張ることができます。

 

財務についての専門のプロコーチもいらっしゃるので、経営についての相談がしやすい人が見つかることもありますが、料金はそれなりの金額になります。

 

コーチの探し方

 

5-1.マネジメントアドバイザリーサービス(MAS)を利用する

一方、MAS(マネジメントアドバイザリーサービス)と呼ばれるサービスがあります。経営助言業務と言われたりします。経営の意思決定を支援する伴走型のコンサルティング業務として税理士や会計士が中心となってサービス提供を行っています。

 

5-2.税理士業務ではないが、経営者にとって顧問税理士がコーチなら一石二鳥

税理士は税務の専門家として、記帳代行や決算書・申告書作成、税務相談などを主に行ってきましたが、近年では税務の領域を超えて、経営の役に立つサービスを行う税理士が増えてきました。

 

法人であれば、顧問税理士なしで申告書作成は難しく、必ず必要となります。会社の内容や業績、帳簿に出てくる証憑まで全部見せているわけなので、かっこつける必要がない相手なので、もし顧問税理士や会計事務所担当者がコーチなら、課題についての前提を話す必要がありません。

 

財務も詳しいし、数字に強いので、伴走中に経営者が間違った方向に行きそうなときは結果的に軌道修正となる助言が期待出来ます。コーチングを勉強している会計事務所であれば両方のスキルを持っているので、最適というわけです。

 

税理士が「経営助言を行う」といっても、通常の顧問契約の範囲内で試算表を説明するだけのものと、「MAS」という別メニューを持っている事務所のものとありますので、ここまで読んできた方が期待するサービスは、後者を選択して下さい。

 

2つの経営助言の大きな違いは、前者は過去の月次をもとに予測をする助言であり、後者は経営者のこれからやりたいことを実現させるための助言です。

 

5-3.心のよりどころが見つかると自信が生まれる 癒やされる

会社で孤独を感じていても、伴走してくれるコーチ(MAS担当者)がいれば、壁にあたっても心折れずに一緒に頑張れるということはあります。心が継続して元気であるために、利用してみるのはおすすめです。

 

コーチングやMASを取り入れるには費用がかかりますが、年間数十万円で経営者のビジョンの実現ができるなら、コスパはかなりよいのではないでしょうか。

 

6.碧の空のMASとは

MASの手法はクライアントや担当者によって様々ですが、碧の空では基本的には次のような手順ですすめていきます。

 

6-1.ビジョンの設定

5年後にどうなっていたいかについて、経営者の気持ちを聞きます。

 

「どうなっていたい」とは、売上がいくらか、社員数は?拠点の数は?社員の給与は?というような具体的な数字のことも最終的には考えるのですが、その前に、社長が目指すサービスは?社員からみてどんな会社になっていたい?社長自身はどんな仕事をしている?家族はどんな顔をしている?など、できるだけ手に入れたいと思うものを映像として想像できるようにして、なりたい自分や会社をイメージします。

 

6-2.中長期の数値目標の作成と具体的にやるべきことの設定

それなりに強いイメージ、ができたら、それをもとに数値目標を決めて、その数値目標を達成するための行動を考えていきます。

 

碧の空ではその際、利益の出る仕組みを社長と考えます。顧問税理士なので、実績の月次データを持っています。それらをMAS専用システムに入れます。現状を分析して、課題を出すところから社長と一緒にやっていきます。

 

課題の抽出が終わると、対策についてアイデアをたくさん出します。たとえば、売上が足りないと一口に言っても、単価を上げられるのか、数を増やすのか、新商品を考えるのか、売る場所を変えるのか、など、一旦手段の可能性を広げて、実現可能なものに絞ります。

 

先程の専用システムで社長自ら、前提や条件、仮定の数字を入れて何度もシミュレーションをします。キャッシュは回るのか、利益は足りるのか?5年後までに借入金はどれくらい減らせるのか、設備はいくらまでかけられるのか。

 

システム上は何回失敗しても問題ないので、社長がPCのマウスを握って一つずつ条件を見直して入力していくうちに、社長は財務のからくりを理解することができます。その時MAS担当者はずっと傍らで操作方法と考え方の助言をしていきますので、安心してください。

 

中期計画が出来上がったらそれを元に初年度1年間の計画を考えます。5年後にそうなっていたいなら、1年目に何をすべきなのか、どこまで到達しているのを目標にするか、解像度をあげていきます。

 

さらに1年間を12ヵ月に細分化して、来月までに何をすべきかを考えます。

 

6-3.コーチは伴走者 あくまで経営者自身が決める

よく、MASではなくて税務顧問をやっていると、「先生に怒られるからやらなかったよ(あるいは、ちゃんとやったよ)」と言われたり、「先生、車買っていいですか?」と許可を求めるような言い方をされる場合もあります。

 

経営者が、税務上、資金繰り上のアドバイスを日々ちゃんと受け止めてくださって、冗談めかして発言されているのだと思いますが、ちゃんとコミュニケーションが出来ていることが実感できて嬉しかったりします。

 

良好なコミュニケーションという意味では同じですが、MASの場合は少々違います。「コーチ」はいても、「先生」はいないのです。

 

経営は社長が行うものなので、コーチはあくまで伴走者として、社長の中の答えを引き出す役目を行っています。数字の仕組みに詳しいから経営のノウハウまで持っているというわけではありません。社長がなりたい自分やしたい会社は、社長自身が行動を決めて動くしかありません。

 

作った目標が絵に描いた餅にならないように、社長は「やる」と覚悟をもって決断するのです。

 

6-4.一人で経営をするのとコーチがいる状態で経営を行うのでは到達点が違う

私はヨガ教室に10年近く通っていますが、実はヨガが大好きなわけではありません(先生ごめんなさい・・)。健康でいたいという目的があるから通っていますが、先生との約束がなければとっくにやめています。

 

ヨガ教室に入る前は、当時の同僚に誘われて、いつでも自由に好きなトレーニングができるスポーツジムに入会していました。誰とも約束しないから、自分との約束のみ。時には残業を選び、時には家族サービスを選び、実際にジムに行ったのは同僚と入会を約束して行った初回と、ズンバとエアロビの時間に合わせて行った数回のみ。そのうち、毎月ジムの経営のためにまるっと寄付をしているような会員になりました。

 

なんと流されやすく意思が弱いのだろう・・・、と反省し、個人でやっているヨガの先生のところに通うことにしたのです。

 

本来筋トレも柔軟体操も好きではなく、身体は超硬いし、瞑想の時間は一瞬で意識が飛んでしまうし、私にとってヨガは苦行です。それでも「健康のために続ける」と自分で決意して始めて、今まで続けてこられたのは、ヨガの先生との約束があるからです。

 

経営についても同じです。毎日5年後の未来について考えているわけではありません。目の前におこるトラブルや、新規営業案件、スタッフからの相談など、緊急で重要な仕事が優先されます。そのうち、残業や家族を優先して、重要だけど緊急ではない経営のことは手つかずになっていきます。

 

コーチ(MAS担当者)と約束して、毎月数時間でも経営について考える仕組みを構築することは、5年後のビジョンに近づく最も有効な手段と考えます。

 

6-5.コーチ(MAS担当者)の存在は孤独でなくなる一つの大きな理由ではあるが・・・

コーチ(MAS担当者)が経営者に寄り添ってくれて、毎月課題を自ら解決していけるようになったら、その時は孤独ではなくなっているかもしれません。

 

しかし、私の「孤独脱出」の理想はもう一つ上をいきます。前述したエンパワーメントです。コーチと一緒に、このエンパワーメントの仕組みを会社に取り入れることによって、スタッフと経営者が同じ方向を向くことができます。それを手に入れたら、かけがえのない充実感と全員を褒めたくなる達成感、これからどこにでも行けそうな期待感で、この上なく幸せな気持ちになると思います。

 

経営方針と経営計画はスタッフ全員と共有し、それらを実現するための行動計画はスタッフと作成します。スタッフが自ら考えて行動していってくれるので、経営者は彼らが働きやすい環境をひたすら考えて整えていくことに徹します。

 

たとえば、経営者のやるべきことは

・情報を整えて渡すこと(メニュー別の売上高の推移、案件ごとの採算計算書、受注から納品までのリードタイムの日数と他社の平均日数、など)

・スタッフが行動計画を作成するための時間の確保(残業を減らすアイデア出し、時にはスタッフの新規採用、就業規則の見直し)

・人事評価方法の見直し(経営方針にあった教育カリキュラムの制定、評価のポイントの再検討、給与体系の見直し)

・スタッフ全員を営業モードへ変換する雰囲気作り(具体的なビジョンと共感、何をやって何をやらないのかの話し合いの場をつくる)

などです。

 

しかも、これらの業務もプロジェクトにして、経営者が一人ではやらず、チームを組んでスタッフを巻き込んで行います。自分達で仕組みを作った、と思ってもらうことが理想ですので。

イメージ、出来ましたでしょうか。

 

6-6.長く続く経営者人生の転換期のヒントに

オーナーである経営者は、自分で退職の時期を決められます。

 

人生100年時代と言われるようになって、長すぎる老後が怖くなったり、第2の人生を考えなくてはいけなくなったりと、定年を意識し始めた50~60代のサラリーマンの人たちが抱く漠然とした不安は、経営者の方々からはあまり聞くことがありません。

 

というか、ずっと前から経営責任からくる不安を常に抱えてきているので、老後に限ったことではないからなのではと思います。

 

それでも、事業承継のことは考えます。自分がいなくなったら会社やスタッフ、取引先はどうなるのか、自分が病気になって一定期間離脱したらその間、会社は持ちこたえられるのか。

 

碧の空の顧問先は、毎年決算予測のときに、生命保険を利用したリスクヘッジについて考える機会をもち、最適な保障額と最適な企業保険を税務担当者から提案されます。その際、経営者に何かあったら、会社をたたむのか、誰かに委ねるのかを尋ねられます。それによって必要な保障額が変わってくるからです。

 

経営者の命をたくさん削って育ててきた会社や事業のポリシーやマインドを、後継者が引き継いでくれるのは、やはり幸いなこと。

 

エンパワーメントされた組織なら、万が一の時にも、資金さえあれば、すぐに立ちゆかなくなることはないと思います。なぜなら会社が、自分で考えて動く人たちで構成されているからです。

 

そのカルチャーは、おそらく会社の価値としても高く評価されるので、M&Aの観点からも魅力的に映ると思われます。親族に跡継ぎがいなくても、スタッフの中や取引先などからオーナーになりたい人が出てくる、魅力的な会社になっているのではないでしょうか。人材が貴重な昨今では、存続させる方法が沢山あると思います。

 

一方で、「俺の代で綺麗さっぱり終わらせるつもり。」と仰る経営者も多くいます。

 

会社のノウハウの大部分が、経営者自身の唯一無二の「技術やセンス」であり、その人固有のこだわりは、他の人にはとうてい伝授出来ないレベルだし、教える気もなさそう(教えるのは上手ではなさそう・・)、という場合は、税務担当者は「弟子を育てましょう」などと軽々しくは言えません。

 

M&Aの道ももちろん模索しますが、ノウハウが社長にしかないのであれば、会社という入れ物を買っても不動産や魅力的な取引先の口座がなければ、社長が抜けた後の会社にあまり価値はありません。

 

経営者の想いを受け入れて、会社を綺麗にたたむのに必要な保障額を算出したり、引退時期に向かって具体的に何をしたら良いのかと、ソフトランディングする計画を一緒に考えたりします。

 

税理士事務所が行う「MAS」が「プロコーチ」と違うのは、経営者がやりたいことの決断を引き出すときに、経営相談をたくさん経験してきているので情報提供できる手段・方法・アイデア、の例示が多いことです。

 

また、それぞれの手段をとったときの税務コストの計算がざっくりとできたり、必要な士業(弁護士・司法書士・社会保険労務士・弁理士)紹介・専門家(M&A・不動産・生命保険・損害保険)紹介なども総合的にワンストップで情報収集できます。

 

なお、「MAS」は全く税務顧問とは異なるサービスとなりますので、顧問税理士を変更する必要はありません。顧問税理士からもらった月次データを提供していただければ、MASサービスをうけることは可能です。

 

さらに、MASとエンパワーメント理論は関係ありません。エンパワーメントは碧の空がすすめる手法の1つであり、オリジナルメニューです。経営者が決めた経営手法をMASでサポートすることももちろん可能です。

いろいろな経営者人生があるなかで、もし「MAS」や「エンパワーメント」に興味がある方がいらしたら、ぜひお声がけください。人生の転換期になるかもしれません。

 

ぜひ碧の空のMASで「経営者の孤独」から脱出してください。

この記事を監修した人

長坂ひとみ

税理士法人碧の空ロゴ

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