2024/12/4
確定申告を税理士に依頼する際の相場は?令和6年申告時の注意点も解説
目次
確定申告の季節が近づくと、多くの個人事業主が頭を悩ませます。
特に令和6年(2024年)の確定申告では、税制改正や新制度の導入により、より複雑な対応が求められます。
そこで、確定申告を税理士に依頼する際の費用相場や、令和6年の確定申告時の注意点について詳しく解説します。
税理士に確定申告を依頼する際の費用相場は?
税理士に確定申告を依頼する際の費用は、依頼者の状況や税理士事務所によって異なりますが、一般的な相場を見ていきましょう。
法人の場合の費用相場
法人が確定申告の業務を税理士に依頼した場合、かかる費用相場は年間10万〜です。
個人事業主と比べると事業規模が大きくなるため、費用負担も大きくなります。
売上高に応じて税理士の報酬額が変動します。
大手税理士紹介サイトでも、掲載されている顧問料は売上によって大きな差があります。
税理士紹介センター ビスカス
年間売上高 |
訪問回数 |
料金の目安 |
年商1,000万円未満 |
4-6ヶ月に1回 |
10,000円~/月 |
決算のみ |
100,000円~/年* |
|
年商1,000万円以上 3,000万円未満 |
2ヶ月に1回 |
20,000円~/月 |
3-4ヶ月に1回 |
15,000円~/月 |
|
決算のみ |
150,000円~/年* |
|
年商3,000万円以上 5,000万円未満 |
毎月1回 |
25,000円~/月 |
2ヶ月に1回 |
20,000円~/月 |
|
3-4ヶ月に1回 |
15,000円~/月 |
|
年商5,000万円以上 1億円未満 |
毎月1回 |
30,000円~/月 |
2ヶ月に1回 |
25,000円~/月 |
|
3-4ヶ月に1回 |
20,000円~/月 |
|
年商1億円以上3億円未満 |
要相談 |
30,000~50,000円/月 |
年商3億円以上5億円未満 |
要相談 |
35,000円~/月 |
年商5億円以上10億円未満 |
要相談 |
45,000円~/月 |
年商10億円以上 |
要相談 |
50,000円~/月 |
*確定申告対応のみで依頼する場合、年額での支払いとなる
※紹介サイトで表示されている金額は、記帳代行や決算申告料が含まれていない最低価格となっています。
実際に依頼する場合はこの金額よりも高くなることが多いので注意が必要です。
法人の費用相場について詳しく知りたい方は、
法人が税理士に依頼するとかかる費用はどれくらい?税理士の選び方も解説 – 税理士法人 碧の空
を参考にしてください。
個人事業主の場合の費用相場
個人事業主が確定申告の業務を税理士に依頼した際にかかる費用は、年間7万円〜2が相場です。
費用は法人の場合と同じく売上高に応じて変動し、売上高が高くなるほど報酬も高くなります。
また、依頼する業務内容によっても変動します。
青色申告の場合
青色申告を行う個人事業主の場合、以下のような費用相場となります。
税理士紹介センター ビスカス
年間売上高 |
訪問回数 |
料金の目安 |
年商500万円未満 |
確定申告のみ |
70,000~80,000円/年* |
年商500万円以上 1,000万円未満 |
3-4ヶ月に1回 |
10,000円~/月 + 確定申告料 |
確定申告のみ |
100,000円~/年* |
|
年商1,000万円以上 3,000万円未満 |
2ヶ月に1回 |
20,000円~/月+ 確定申告料 |
3-4ヶ月に1回 |
15,000円~/月+ 確定申告料 |
|
確定申告のみ |
150,000円~/年* |
|
年商3,000万円以上 5,000万円未満 |
毎月1回 |
25,000円~/月+ 確定申告料 |
2ヶ月に1回 |
20,000円~/月+ 確定申告料 |
|
3-4ヶ月に1回 |
15,000円~/月+ 確定申告料 |
|
年商5,000万円以上 1億円未満 |
毎月1回 |
30,000円~/月+ 確定申告料 |
2ヶ月に1回 |
25,000円~/月+ 確定申告料 |
|
3-4ヶ月に1回 |
20,000円~/月+ 確定申告料 |
|
年商1億円以上 |
要相談 |
30,000/月+ 確定申告料 |
*確定申告対応のみで依頼する場合、年額での支払いとなる
青色申告は記帳の正確性が求められるため、白色申告と比べて費用が高くなる傾向があります。
白色申告の場合
白色申告を行う個人事業主の場合、5万円~10万円程度と言われています。
青色申告と比べて記帳の要件が以下の通り緩いため、一般的に費用は低くなります。
白色申告 |
申告のための経理作業が青色申告よりもシンプルで済む代わりに、節税のメリットが少ない申告方法 |
記帳方式 |
単式簿記(簡易的な記帳) |
必要書類 |
・確定申告書 ・収支内訳書 ・本人確認書類(マイナンバーカードなど) ・各種控除証明書や領収書 |
メリット |
・記帳が簡単で、申告手続きがシンプル ・申告のための事前届出が不要 |
デメリット |
・税制上の優遇措置が少ない ・青色申告特別控除(最大65万円)が適用されない |
控除額 |
事業所得に対する控除額は10万円のみ |
税理士に確定申告をする際に気をつけるべきポイントは?
税理士に確定申告を依頼する際には、注意を払う必要があります。
法人が気を付けるべきこと
法人が税理士に確定申告を依頼する際は、以下の点に注意が必要です。
まず、決算書や帳簿の準備を早めに行い、税理士に十分な時間的余裕を持って提出することが重要です。
また、事業内容や特殊な取引について詳細に説明し、適切な税務処理ができるよう協力しましょう。
さらに、前年度からの変更点や新規の税制改正について税理士と十分に相談し、適切な対応を心がけることが大切です。
個人事業主が気を付けるべきこと
個人事業主が税理士に確定申告を依頼する際は、申告方式によって注意点が異なります。
白色申告の場合、税理士費用が高額になると、節税効果以上の出費となる可能性があります。
そのため、事前に費用対効果を十分に検討し、自身で申告するか税理士に依頼するか判断することが重要です。
一方、青色申告の場合は、記帳の正確性や複雑な税務処理が求められるため、税理士のサポートが有効です。
ただし、確定申告期限直前に依頼すると、税理士が受け付けてくれない可能性があります。
そのため、早めに税理士と相談し、年間を通じて適切な記帳や経理処理を行うことが大切です。
いずれの場合も、事業内容や収支状況を正確に伝え、必要書類を漏れなく準備することが重要です。
また、税理士とのコミュニケーションを密に取り、疑問点や不明点はすぐに確認するよう心がけましょう。
税理士に令和6年の確定申告を依頼するメリット
令和6年(2024年)の確定申告では、いくつかの重要な変更点があります。
税理士に依頼することで、これらの変更に適切に対応できるメリットがあります。
令和6年の確定申告
確定申告期間:令和7年(2025年)2月17日(月)~3月17日(月)
確定申告書のフォーマット変更への対応
令和6年の確定申告では、確定申告書のフォーマットに以下の変更があります。
■ 確定申告書Aが廃止され、確定申告書Bに一本化されました。
■ 第一表に「修正申告」欄が追加されました。
■ 第二表から特定株式の収入に関する「申告不要制度」の記入欄が削除されました。
定額減税の確定申告での対応
定額減税とは?
定額減税は、令和6年6月から12月まで実施される税制措置です。
合計所得金額が1,805万円以下の納税者を対象に、本人分は30,000円、同一生計配偶者または扶養親族1人につき30,000円の減税が適用されます。
予定納税との関係
予定納税の対象者は、本人分の定額減税額(3万円)が予め差し引かれますが、同一生計配偶者や扶養親族分は原則として確定申告で控除されます。
定額減税の家族分の対応
同一生計配偶者や扶養親族分の定額減税は、確定申告時に申告する必要があります。
税理士に依頼することで、これらの複雑な計算を正確に行い、申告書へ適切に記載を行って申告することができます。
インボイス制度への年間を通した対応
令和5年10月1日からインボイス制度が開始されました。
令和6年の確定申告では、この制度に対応した適切な処理が求められます。
特に、青色申告決算書や収支内訳書がインボイス制度に対応した様式に変更されているので注意が必要です。
税理士は、インボイス制度に精通しており、年間を通じて適切な対応を行うことができます。
具体的には以下のような対応が可能です。
■ インボイス発行事業者の登録支援
■ 適格請求書の作成と管理のアドバイス
■ 仕入税額控除の計算方法の指導
■ インボイス制度に対応した帳簿の作成支援
■ 消費税申告における適切な処理
令和6年の確定申告を税理士に依頼して乗り切ろう
令和6年の確定申告では、定額減税やインボイス制度への対応など、複雑な要素が多く含まれています。
これらの変更点を踏まえつつ、自身の状況に応じて税理士への依頼を検討することが重要です。
税理士に依頼することで、以下のようなメリットが得られます。
■ 正確な申告:税制改正や新制度に精通した税理士が、正確な申告を行います。
■ 時間の節約:複雑な計算や書類作成を税理士に任せることで、本業に集中できます。
■ 節税効果:税理士は適切な税制優遇を提案することができます。
■ 最新の税制改正への対応:常に最新の情報を把握している税理士が、適切な対応を行います。
確定申告の費用相場を考慮しつつ、これらのメリットを検討し、自身の状況に合わせて税理士への依頼を決定しましょう。
特に、事業規模が大きくなってきた場合や、複雑な収入構造を持つ場合は、税理士への依頼を強くおすすめします。
令和6年の確定申告を税理士に依頼することで、複雑な税制改正や新制度にも適切に対応し、正確かつ効率的な申告を行うことができるでしょう。
この記事を監修した人
長坂ひとみ (執筆 松田奈津美)