2024/11/28
法人が税理士に依頼するとかかる費用はどれくらい?税理士の選び方も解説
目次
「税理士に依頼するにはどれくらい費用がかかるんだろう」
「顧問料の大体の相場が知りたい」
「事務所によって顧問料が違うのはなぜ?」
税理士に依頼する場合、費用として顧問料が発生します。
しかし、実際のところ相場はどれくらいなのか、顧問料がどうやって決まるのか、分からない方も多いでしょう。
こちらの記事では、顧問料の相場や、金額が変動する条件について説明していきます。
税理士選びのポイントについても解説しますので、これから税理士を選ぶ方や自社の顧問料を見直したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.税理士顧問報酬の相場はいくら?
税理士の顧問料の相場は、月額1〜5万円です。大まかな目安としては3万円とも言われています。しかしこの金額はあくまでも目安で、実際は企業の売上や税理士との契約形態など、様々な要素によって大きく変動します。
また、決算申告をする場合は、顧問料とは別に決算申告料を支払います。決算申告料は、月額顧問料の4~6か月分が目安です。毎月顧問料に上乗せして支払ったり、決算の時期に別で支払ったり、支払い方は事務所や契約によって異なります。
ここからは、税理士との契約形態や顧問料が変動する要素について、詳しく説明します。
2.税理士との契約形態
税理士の顧問料は契約形態によって変化します。大きく分けて3つの契約形態がありますので、それぞれ説明していきます。
⑴定期的にやりとりする契約形態
通常、税理士との契約は顧問契約であり、年間通して定期的にやりとりをしていきます。
これを「月次決算型」といいます。
定期的にやりとりがあるため、税理士が会社の状況を把握しやすいのがメリットです。経営者側も頻繁に税務や経営についての相談ができるほか、毎月税理士が作成した財務諸表※で会社の状況を把握することができます。
※財務諸表・・・企業の経営成績やキャッシュ・フローの状況などを、利害関係者に報告するために作成した書類
また、毎月月次決算を行うため、決算書の正確性も向上しますし、決算結果の業績予測もできます。
毎月やりとりをするのが一般的ですが、年に3、4回という場合もあります。数ヶ月分まとめて月次決算を行います。
「月次決算型」は、単発での契約に比べると顧問料は高額になりますが、その分メリットも大きい契約形態です。
⑵年一回だけやりとりする契約形態
顧問契約ですが、年に1回だけやりとりをする契約形態もあり、「年1回決算型」といいます。
1年に1回だけのやりとりですが、継続的にやりとりをしていくため、⑶で説明する単発のスポット契約とは異なり、顧問契約となります。
通常の顧問契約と同様に、様々な税務や経営に関する相談をすることができます。しかし、やりとりが少ない分、積極的な節税対策などのアドバイスは受けづらくなるでしょう。そのため、主に事業規模が小さい企業や個人事業主向けと言えます。
「月次決算型」に比べると面談回数や作業量が少なくなるため、顧問料は安くなります。
⑶スポット契約
継続的なやりとりのない、単発での依頼を「スポット契約」といいます。具体的業務内容として、決算書や各種申告書の作成、申告業務の代行、記帳代行などがあげられます。
顧問契約とは違い、単発の依頼であるため、節税の提案や経営に関する助言などは受けられません。あくまで最低限の業務のみと考えておくのが良いでしょう。また、定期的なやりとりが無いため、税理士側が正確に取引の内容を把握するのは難しくなります。
限定的な業務であるため、料金は顧問契約に比べると安くなるのが大きなメリットです。「不動産を売ったので確定申告が必要」など、特殊な申告の年のみ依頼する場合はスポット契約が適しています。
事業者については、税理士の契約は基本的に顧問契約であり、スポット契約での依頼を受け付けていない税理士もいます。スポットでの契約を依頼したい場合は、その契約が可能かどうか聞いてみるのが良いでしょう。
3.税理士の顧問料は会社の規模やサービスによって変動する
税理士の顧問料は、会社の規模や依頼するサービス内容によっても変動します。
⑴会社の売上規模
税理士の顧問料は、会社の売上によって変動する税理士事務所が多いです。売上は会社の規模を表す目安であり、会社の規模に応じて税理士側の仕事量が変わってくるからです。
大手税理士紹介サイトでも、掲載されている顧問料は売上によって大きな差があります。
税理士紹介センター ビスカス
年間売上高 |
訪問回数 |
料金の目安 |
年商1,000万円未満 |
4-6ヶ月に1回 |
10,000円~/月 |
決算のみ |
100,000円~/年* |
|
年商1,000万円以上 3,000万円未満 |
2ヶ月に1回 |
20,000円~/月 |
3-4ヶ月に1回 |
15,000円~/月 |
|
決算のみ |
150,000円~/年* |
|
年商3,000万円以上 5,000万円未満 |
毎月1回 |
25,000円~/月 |
2ヶ月に1回 |
20,000円~/月 |
|
3-4ヶ月に1回 |
15,000円~/月 |
|
年商5,000万円以上 1億円未満 |
毎月1回 |
30,000円~/月 |
2ヶ月に1回 |
25,000円~/月 |
|
3-4ヶ月に1回 |
20,000円~/月 |
|
年商1億円以上3億円未満 |
要相談 |
30,000~50,000円/月 |
年商3億円以上5億円未満 |
要相談 |
35,000円~/月 |
年商5億円以上10億円未満 |
要相談 |
45,000円~/月 |
年商10億円以上 |
要相談 |
50,000円~/月 |
*確定申告対応のみで依頼する場合、年額での支払いとなる
※紹介サイトで表示されている金額は、記帳代行や決算申告料が含まれていない最低価格となっています。実際に依頼する場合はこの金額よりも高くなることが多いので注意が必要です。
⑵従業員数
会社の従業員の人数によっても顧問料は変化します。
特に、給与計算や年末調整を依頼する場合は、人数に応じて料金は高くなります。ただし、給与計算や年末調整は月額顧問料の中に含まれておらず、依頼する際にはオプションとして追加で費用を支払う場合が多いです。
⑶税理士との面談頻度
税理士や担当者との面談回数が多いほど顧問料は高くなります。
面談の回数は、主に2で説明した税理士との契約形態と同じであることが多いです。しかし、「月次決算型で毎月資料のやりとりはするが、面談は2ヶ月に1回」のように、面談を別で選択できるプランを用意している事務所もあります。
面談方法は「担当者が会社を訪問する」「税理士事務所に来所していただく」「Webミーティングで行う」など様々な方法があります。ただし、訪問の場合は出張費などが加算されるため、事務所に来所していただくよりも料金が高くなる傾向にあります。
⑷記帳代行・年末調整等のオプション内容
顧問料は基本的に➀税務相談、②税務書類の作成、③税務代理という3つの「税務独占業務」に対しての料金であり、他の業務を依頼すればするほど費用が加算されます。
前述した年末調整や給与計算のほかに、記帳代行や税務調査の立ち合いなども加算の対象です。
逆に言えば、オプションを少なくできれば顧問料を削減できます。顧問料を少しでも安くしたい場合は、自社でできる作業は自分たちで行うことができるか検討しましょう。
顧問料を安くする方法については、こちらの記事でも解説しておりますので、興味のある方はぜひご覧ください。
税理士はいらない?顧問料を安く抑える方法や注意点についても解説します
4.顧問料が高い税理士・安い税理士 どう違う?
先述の内容では、顧問料は自社の規模や依頼するサービスによって変動するとお伝えしました。しかし、顧問料は税理士事務所側の規模や方針によっても大きく異なります。
起業したばかりの税理士事務所の顧問料は、相場より安くシンプルなプランであることが多いです。
逆に規模の大きな税理士法人は、顧問料が高くなることが多いです。規模が大きければできることも多く、特殊な事業に対応できます。
しかし、顧問料の金額が税理士の良し悪しに直結するわけではありません。
ここでは、顧問料の安い税理士事務所、高い税理士事務所、それぞれの特徴について解説します。
⑴顧問料が安い税理士は起業したての方におすすめ
顧問料の安い税理士事務所は、少しでも支出を抑えたい方や、事業規模の小さい起業したばかりの方におすすめです。
というのも、税理士側が起業したばかりで顧客を獲得したいために、顧問料を低く設定しているという場合が多いためです。開業税理士は1人で運営していることが多く、サービス内容も比較的シンプルです。
最低限自分に必要な業務だけ依頼できれば良いという方には、このようなシンプルで安価なプランで十分な場合があります。
しかし、起業するためには提出しなければならない書類が沢山あります。起業手続きで不安なことがある場合は、ただ安価なところを選ぶのではなく、必要な手続きが何か自分でも調べて、しっかりサポートできる税理士にお任せした方が良いです。
⑵顧問料が高い税理士はサービスや得意分野が充実している
顧問料が相場より高い税理士というのは、規模の大きな税理士法人であることが多いです。規模の大きな税理士法人は拠点が多く、様々な専門分野に長けた人員が充実しています。
特殊な業種や海外進出を考えている企業など、複雑な業務を依頼したい場合は、顧問料が高くても専門分野の充実した税理士法人に依頼するのが良いでしょう。
また、経営コンサルティング業務を依頼する場合は、顧問料は高くなります。金額が高い分、数値計画の作成や経営戦略の助言など、経営に関する質の高いサービスを受けることができます。
5.税理士を選ぶ際のポイント
税理士を選ぶ際には、費用以外にも確認すべき事が沢山あります。
様々な税理士事務所の中から、自社にあった税理士を選びましょう。
⑴初回の面談で税理士との相性を確認
経営者にとって税理士は、自社の経営のパートナーと言っても良い存在です。
税務や経営に関して適切な助言をもらうためには、自社の財務状況や経営状態を常に共有しなければならないため、自分が信頼できると感じた税理士を選ぶことが最も重要です。
当法人のお客様の中には「経営の事はもちろん、世間話など何でも相談出来るのは心強い」と言ってくださるお客様もいらっしゃいます。お客様に信頼していただき、何でも頼っていただけることが私たちの一番の喜びです。
契約の前に税理士と面談し、自分との相性や自分が信頼できる税理士かどうかを確かめましょう。
⑵料金表でサービス内容を確認
料金表があるかどうかを確認しましょう。
料金表が無い場合、明確な料金基準がなく、所長税理士が感覚で決めている場合があるので、会社によって不公平な料金設定になっている可能性があります。
また、依頼したいサービスが含まれているか、追加で発生する料金がないかどうかも合わせて確認しましょう。
前述したように、基本的な顧問料には年末調整、償却資産申告、各種届出書の作成、給与計算などの業務は含まれていません。顧問料のサービス内容を確認しなかった場合、想定外の支出となる場合があります。
特に給与計算については、「依頼できると思っていたら、別で社会保険労務士との契約が必要だった」というケースが少なくありません。最近では「労務関係の専門家である社労士に任せた方が安心」という考えから、給与計算の依頼を受けない税理士も増えてきています。
顧問料単体だけ見たら安いと思っていたけど、実際に依頼したい費用を全て合わせたら想定外に高くなっていた・・・ということもあります。自社が依頼したい内容を洗い出し、必要な業務が全て揃っているか確認することが大切です。
また、事務所ごとに料金形態に違いがあるため、他の事務所と比較する際には月額ではなく必ず年額で比較しましょう。
⑶税理士事務所とのコミュニケーション方法
税理士事務所とのコミュニケーション方法を確認しておきましょう。
最近では直接会って話すだけでなく、Webミーティングに対応している税理士事務所もあります。他にもメール・チャット・電話・FAXなど、やりとりには様々な方法があるため、自分たちに合ったコミュニケーション方法が選べる事務所だと便利です。
資料の提出方法も確認しておくと良いです。直接渡す方法や郵送以外に、スキャンや写真でのデータ提出にも対応している事務所もあります。会計ソフトと銀行やカードが連携していれば、一部データ提出が不要な場合もあります。
会計ソフトとのデータ連携についてはこちらの記事をご覧ください。
クラウド会計で何ができる?導入後も税理士は必要?
⑷自社の業種・業界に対して知識があるか確認
税理士事務所が自社の業種・業界のお客様を担当したことがあるかどうかも、税理士を選ぶ一つのポイントになります。同業の顧客を経験したことのある税理士の方が、話が早く何かと便利です。
しかし、必ずしも業種や業界の知識が必須というわけではありません。メジャーな業種であれば多くの税理士が経験していますし、特殊な業種の場合はきちんと税理士に説明できれば大丈夫です。
⑸経営に関する知識や経験は豊富か
税務に関してだけでなく、経営に関して的確に助言できるかどうかも重要です。経営の相談に応じるためには、税務の知識だけでは不十分です。
値決めの仕方、利益の出し方、資金が足りなくなることはないか、設備投資のタイミングなど、あらゆることを想像してアドバイスしていく必要があります。
税理士法人碧の空では、顧問契約とは別に「将軍の日」※をご用意しております。
経営者の方のビジョンを見える化することで、考えるべきことを整理して課題に取り組むことができます。
※将軍の日とは
・専用システムを活用し、わずか1日で経営計画書を作成できます
・将来5年間の損益・賃借・キャッシュフローを瞬時に確認し、何度でも徹底的にシミュレーションができます
・経営成長を目指す経営者のための少人数制の実践的セミナーです
⑹税理士が複数人いると安心
税理士1人でスタッフがいない場合や、税理士とパートのみの場合、もし所長税理士が病気になったり災害に遭ったときに対応が難しくなってしまいます。申告が近いときや、今すぐにでも相談したいことがあるときには、所長税理士以外にもスタッフの中に税理士がいると代わりに対応できます。
また、1人のお客様を複数人でサポートする分業体制をとっている事務所は、担当者以外にも会社のことが分かる人がいつも事務所にいるので、担当税理士が不在でも安心して問い合わせることができます。
6.税理士法人碧の空での顧問契約
税理士法人碧の空では、大きく3つのコースをご用意しています。
・シンプル会計コース
記帳を事務所で代行します。主にマネーフォワードを利用します。
資料は指定のポケットファイルを毎月提出いただきます。
試算表はお渡しのみで面談はありません。担当者との電話相談ができます。
確定申告書一式の作成提出をします。
決算日1ヶ月以上前にお客様の予想に基づき、利益と税額の予測をします。
【こんな方にオススメです!】
サポートしてほしいけど、なるべくお金は節約したい!
経営については自信があるので面談等は特に不要。税務申告を主に依頼したい。
・スタンダードコース
シンプル会計コースに毎月面談担当者との月次報告面談が付きます。
担当者との会話を通じて、現状の数字を確実にとらえながら経営判断をすることができます。
事務所にて実際にお会いする方法のほか、オンラインでのやり取りも可能です。
最も標準的な税務顧問契約の形態です。
【こんな方にオススメです!】
現状の数字を詳しく説明してもらい、業績をしっかり把握したい!
税務や会計に関する相談や決算対策を相談したい。
・MAS契約コース
経営者の将来のビジョンをお聞きして、数値計画と行動計画に落とし込み、目標に向かって進む経営者にMAS担当者が伴走するコースです。
黒字経営の確立が高くなります。税務顧問契約がなくてもお引き受けできます。
シンプル会計コースとの併用、スタンダードコースとの併用が効果的です。
【こんな方にオススメです!】
理念経営がしたい。夢を実現させたい!
社員のモチベーションを上げたい。会社の雰囲気をよくしたい。
組織的に強い会社にしたい。
資金繰りの計画がみえるようにしたい。
経営について学びたい。
これらのコースを元に、お客様それぞれに合わせて、カスタマイズしてご提案させていただきます。
お客様の事業の状況や、夢、ビジョンなど、初回の面談時にぜひお聞かせください。
⑴お客様のニーズに応じてカスタマイズできる
碧の空では、上記3つのコースをお客様の事業の状況に応じてカスタマイズしています。
年末調整や償却資産申告を追加するのはもちろん、シンプル会計にオプションとして面談を付けたり、スタンダートコースの面談回数を予算や事業の状況に応じて変更したりもできます。
契約するサービスの内容は、詳細な料金表で確認できるため安心です。
⑵毎年お客様の状況に合わせてカスタマイズできる
お客様の状況を踏まえて、毎年顧問契約の見直しを行うことができます。
例としては、以下のような内容が挙げられます。
・自計化(自社で会計システムに直接入力し、税理士事務所が監査する方法)に移行したい。
・2ヶ月に1回面談を付けていたけれど、軌道に乗ってきたから面談回数を年2回に減らしたい。
・変動損益計算書がリアルタイムで見られる会計システムに変更していきたい。(製造業や建設業の方にニーズがあります)
・夢に向かって加速したいので、MASコースを追加したい。
お客様のニーズに応じて、柔軟に契約内容を変更できるのは当法人の強みです。
自分の事業状況に応じた話を聞いてみたいと思われた方は、お気軽にお問い合わせください。
7.まとめ
法人の顧問料の目安はおおよそ3万円ですが、別途で決算申告料が必要だったり、他必要なサービスが含まれていない場合がほとんどです。
顧問料の金額だけではなく、サービスの内容を把握し、自社にあった税理士を選ぶことが最も重要です。実際に税理士と面談し、税理士と自社の相性が良いかどうか確かめましょう。
税理士法人碧の空では初回面談を無料で行っております。
税理士をお探しの方は、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。
この記事を監修した人
長坂ひとみ (執筆 赤堀和奏)